キリジャバナー2

虹の彼方に(八)

※2021/12/11ちょっとだけ改訂 『名湯の湯治場、天然ガスで爆発』 『負傷者多数も死亡者なし』 『カルト教団一斉摘発』 そんな見出しが飽きた頃、やっぱりあいつは現れた。我が家のように押し入り、リビングで新聞を読む俺...

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虹の彼方に(七)

※2021/12/11改訂 むかしむかし、とは言ってもそんなに大昔ではない、むかし 白いへびのかみさまを おまつりしている人たちがいました みんながいっしょうけんめい おいのりをして おきてをきちんと守るので 白いへびの...

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虹の彼方に(六)

※2021/12/11改訂 いくつかの儀式を経て、俺は装束を身にまとう。 白木の案に載せられたのは俺が指定した衣服。 控えている教団の人間は内心穏やかではないだろうが、知らぬ顔をしている。何せここは奥の院の最深部。一握り...

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虹の彼方に(五)

※2021/12/10改訂 夜が明けるとキリコを連れた大師様御一行は本山へと出立した。出迎えの時とは違い、誰も言葉を発さぬ静寂の中、神輿は社を離れていく。 白い几帳が揺れるのを眺めていると、昨晩のやりとりが脳内に蘇ってき...

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虹の彼方に(四)

※2021/12/5改訂 朝からカガイだ、カガイだと社の中は浮ついている。キリコの言っていた『歌垣』だ。 大師様が山に戻るから、その見送りの宴と、キリコが〈十〉になったことの祝いらしい。 キリコは〈八枚〉様から飛び級で、...

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虹の彼方に(三)

※2021/12/5改訂 朝飯を食うと、キリコはお清めへ。今日もせっせと鱗を育てるわけだ。 相変わらず俺は軟禁。大師様が来てから、俺の監視は一層厳しくなった。大師様の滞在中に不手際があっては一大事ってことなんだろう。俺の...