【11話】水の影

ブラック・ジャックを語る上で避けて通れない、生と死の観点の違いをクロオの実習を通して描きました。

クロオは自身の体験から、死に対して潔癖なほど嫌悪感を抱いて抜け出せないでいます。一方キリコ姉はホスピスの緩和ケアの仕事の中に、生きる素晴らしさを見出し、死へと向かう道筋を尊んでいく姿勢を貫きます。

両者の違いは実習のほんの数日で解消できるものではないし、きっと一生かかっても本当には理解できないのかもしれません。だけど人生ってそんなことばかりじゃないでしょうか。分かり合えない中にあっても、何かひとつ共有できる価値観があれば、すばらしいことだと思うのです。時が流れて、いつか思い出に変わる日に。そんなことを松任谷由実さんの「水の影」を聞きながら考えました。

と、能書きを垂れながら、辰巳君とクロオが飲んでる焼き鳥屋のメニューに「生まれたら必ず死ぬ」というメッセージを込めました。わはは。焼き鳥屋「ヤキトリズム」あったら行きたいなあ。自己満です。

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