サイトを作って間もなくのことでしたね。いきなり「家族パロを仕留める」「描き切らないとキリジャが描けない」と宣言して、そのとおりに家族パロという正体不明の熱をとっちめるべく、私は使える時間の全てといっても過言でないくらいに、長い時間をかけて頭の中の思考を漫画にしてきました。
描いているうちに人間の思考とは変わっていくもので、現在のラストシーンは初めに想定したものとは大きく逸脱した結果になりました。もう何でもやってやれの精神でした。だからキリコ姉に白無垢も、ウエディングドレスも着せました。わはは。暴挙。神をも恐れぬ悪辣。にこやかに毒の盃をいただきましょう!
家族パロは、本当は「ALRIGHT」で終わる話だったのです。その先へ先へと物語が続いていった理由は、ただただクロオの情熱にあるとしか言えません。彼の情熱のままにペンを走らせると、世間体、倫理観などなど、大人の常識が私を苦しめました。やおいを描いているのに、一端の道徳心は残っていたみたいです。ですが私の思いとは裏腹に、クロオは自由闊達に周囲の登場人物を巻き込んで、物語を大団円へと導きました。これはひとえに手塚先生の生み出されたブラック・ジャックが持つ情熱を、勝手に私が自己解釈でキャッチしてクロオにインストールした結果です。腐った物描きにも一筋の光を与えてくださる原作の力を思うと、ただ頭が下がります。
原作の設定を踏襲しつつ、キャラクターの外枠を借りて、独自の解釈を加えるパロディとは、本当にオリジナルに近い二次創作なのだと感じました。なんせメスが投げられないブラック・ジャックや安楽死装置を使わないドクター・キリコを描くわけで、それがとても新鮮でした。こんなことさせていいのかと、ひやひやして描いていたのも事実ですが…穏やかな並行世界の彼らは、さぞ平和な日々を謳歌するだろうと思いきや…殴ったり、わめいたり、爆笑したり、泣いたり、怒ったりと実に人間臭い日々を送りました。そんな彼らを描くのは、とても楽しい時間でした。
そしてやはり家族パロを描いていくうちに、原作に近いキリジャのブラック・ジャック先生とキリコ先生との違いをはっきりと認識できました。
キリジャのブラック・ジャックとドクター・キリコ。彼らの持つ闇夜の妖しさ。生と死をぶつかり合わせる火花の苛烈さ。そして何より邪悪な微笑。描きたい!描きたい!と何度胸を掻きむしったことでしょうか!家族パロをきちんと終わらせたなら、もう描ける。描いていい。今はその嬉しさがあります。
ただ、肝心のBJ先生が私の中で完全に迷子になってしまっています。家族パロのクロオと黒男はBJ先生を分けた人格が始まりでしたが、彼らは物語が進むうちに完全に変容して、再びひとつにはなりません。ああ、頭の中で二人が取っ組み合い始めたよ。いっしょになるなんて嫌だって。
でもキリジャのBJ先生を描いてきた時間のほうがはるかに長くて、彼はすぐそばにいるような気がします。見つけに行こうかな。キリコ先生と一緒に。
キリコ兄はキリジャの方から出張してきてもらってる感じで描いていたので、あまりぶれていません。多少は丸くなってますが。
現パロはそれはそれで、おいしいところがたくさんありますから、また気が向けば描こうという気持ちはあります。キリコ兄の会社の話や、へケートちゃんとキリコ姉の出会いなど、家族パロで描き切れなかった枝葉の話は20近くあります。描くぞ!と息巻いていた話もあるのですが、ちょっと一旦休憩(笑)さすがに全部は無理なので、いつか、たぶん。
そしてキリジャを描いていた時間よりは、とても短い間だったけれど、濃密な時間を過ごした家族パロの面々を大切に思っています。キャラクターの人生のその先が倖多いものになるような設定を盛り込むほどに。そのくらいキャラクターに入れ込んで描いていました。へケートちゃんについても捕捉したいけれど、ここだと長くなるからなあ。勝手に出して!なんて、怒らないでね。
最後に家族パロの完結を待っていてくださった方々、見守ってくださった方々、みなさんのおかげでここまで描いてこられました。私は相変わらずの小心者ですが、みなさんと一緒に創作の楽しさを共有できて、うれしく思います。もし良かったら、感想など下さるとありがたいです。拍手でも。もちろん。
A new comic was done.I wish my comics please you!
たくさんの感謝を込めて。With the thanks from a heart. おこめ