「昔のあなたが描くキリジャの方が好きだった。」
よもや自分がそのようなことを言われる立場になろうとは、思いもよりませんでした。
話の構成、キャラクターの捉え方、線の細さ、これでもかと昔の自分と比較され、じゃあ今必死に描いている自分は何なんだと、無性に悲しく苦しくなりました。
あまりにも空しくて、ペンを執る気になれませんでした。
あんなに好きだったキリジャが何なのか、さっぱり自信がなくなりました。
でも描かないと私は前に進めない。描くことで自分の存在証明をしているようなもんです。今の私から描くことを取ったら、何も残らない。消えてしまいます。今は描くことしかできないのです。有限の時間の中で今だけなんです。
拙作を好きだと言って下さる方がいる。そのことがばらばらになりそうな私の心を今繋ぎとめてくれています。大げさですか?本当なんですよ!
傷つくのが人との係わり合いの中でなら、補うのもまた人との係わり合いの中にある。当たり前のことなんですが、身を持って学んでいます。いくつになってもつらいもんです。
立ち直り方を考えます。どうあっても今の私は今の方法でしか描けない。なぜならそれが私が描きたいものだから。受け入れられなくても、私はこれが好きとはっきり自信を持って示せるように。誰かを傷つけているわけではない限り、好きなものは好きと言える様に真摯に自分と向き合いたいです。
そのためにはやはり家族パロを進めるほかないようです。 誰も得をしない話のように思えてきました。激しく空しさを覚えます。それなのに家族パロで描きたいエピソードが、次々に頭の中に表れます。漫画にしたときのカットやエフェクトまで浮かびます。 また頭の中にあるメインのストーリーを描く前に、枝葉の小話を先に上げてしまったのもまずかった、かな。 これらを消化しない限り同じことは続くでしょう。妄想と客観の取っ組み合いです。とにかく今の私はこれらを描かないと前に進めないようです。
家族パロを思いついたのは、肉親にあまりにもつらい思い出ばかりのBJ先生やキリコ先生に家族の安らぎや面倒くささを得てもらったらどうなるか、そのためには正反対のお互いを補い合う形で歪ながらも家族の体を成すのではないかという思い付きでした。それに今まで描いてきたキャラクターを当てはめると、自分の中で意外なほどしっくりきたものでペンを走らせました。
キリコ先生は原作でユリさんという妹がいましたから、兄さんでなんの問題もなかったのです。 もともと女体化を長いことやっていたのもあり、キリコ先生のキャラクターが2つに分かれても、ぶれることはありませんでした。いや、家族パロの姉さんはもともと女性ですから、より姉さんになっていますね。 キリコ姉さんと全く別の人格です。
ところがBJ先生はそうは行かない。キリジャのBJ先生と女体化の方のBJ先生と基本的に同じ視点で描いていたので、それを分割するとなると、弟ポジの黒男と雄の強いクロオに別れざるを得ませんでした。同じ人物にしてしまうと、どっちにもやられてしまう関係性になり、成立しなかったためです。クロオが雄味が強いのは、当時キリコ姉さんでジャキリに転換するターニングポイントにいましたから、無意識下でそうなったのでしょう。
弟ポジの黒男を描くのはとても新鮮で楽しく、ダメな兄を超えようとする出来た弟のスタンスも自然に出来ました。かわいらしさと、それを利用するふてぶてしさ、狡猾な一面、原作のBJ先生が見せてくれる表情が重なります。そんな彼の幼い頃や学生時代の交友関係を、黒男を通して描きたくなりました。こうして三男・黒男のキャラクター設定は私の中で固まりました。
ですが…それがどうも表に出すぎたようです。メインのキリジャのBJ先生まで、三男・黒男のイメージに引っぱられていると…描いている当人にその自覚がとんとないわけですから、どうしようもないです。
取り合えず当面キリジャは描けないような気がします。
家族パロが一段落したときに、どんな捕らえ方で私がキリジャを描くのか、私にも分かりません。
今家族パロを辞めてキリジャを描いても、きっと同じことになります。そもそも誰かに何かを言われるために描いているのか?それは否です。自分のためです。だったらほかの事に耳を貸さずに描けばいい。それができる人間ならこんなに苦しんでいません!
肯定と否定が延々と私の中で渦を巻きます。
「私はこれが好き。私だけの感情。」
それを胸のうちに握り締めていたいです。
そうして生み出した拙作が、もしあなたの目に留まるのなら、こんなにうれしいことはないのです。
贅沢者ですね。
もともと異端だったのが、長いことやってるもんで、錯覚しちゃったんですなあ。異端が超異端になるだけです。
いつも最高を目指してるんじゃしんどいので、最新作はいつもちょっとは違った味付け、くらいにしていくのが私らしいですね。そうだ。そうですよ。
例えばキリジャが和食なら、キリコ姉さんはレストランのランチ、そして家族パロは得体の知れないスパイスたっぷりのカレー!おお、そうか。和食の味噌汁がカレー味なら驚くよなあ。だからかあ。手塚先生のワンカットが、ここに悩める腐女子を救いました。
本人も味が混ざらないように作り分けてるつもりなんですが、なにせ同じ厨房で作ってるもんで…お好みに合えば、つまんでいってください。
たま~に「まだやってる?」ってのぞいて見てください。忘れた頃に看板がかかってたりなんかして…
ご心配くださった方々、あなたのメッセージがどれだけ私を勇気付けてくれたことか!心からお礼申し上げます。ありがとう!
拍手をくれた方々、いつも嬉しい気持ちになります。ありがとう!
完全に戻って来るのは、私の中で家族パロと取っ組み合って、形になってからになりそうです。時間はかかりそうですが、必ず戻ってきます。 そう、取っ組み合ってボッコボコにしてきます。出てくるアイディア全部絞りつくす勢いで。そしたら、きっと何か吹っ切れるでしょう。
ぐだぐだと書きながら頭の整理ができました。読んでくださった方、ありがとう。