【BLOG】作業用BGM③

私が絵を描くときに欠かせないジャンルの音楽があります。ジャンルといいつつ、正式な呼び方は分類が不明瞭なのですが、平たく言えばテクノです。今回は洋楽メイン。

Underworld、「Born Slippy」「Two Months Off」など10年に1曲ヒットを出す奇跡のサウンドだと思ってます。ロンドン五輪の開会式の音楽に彼が深くかかわっていたのは後から知ったのですが、選手入場の中継で「Crocodile」が流れてる!と、胸が高鳴ったのは忘れられません。ロンドン五輪で言うなら、やっぱりFatboy Slimはスゴカッタ!スパイスガールズ再結成!となったところに、妖しげなタコのオブジェ…このイントロ聞き間違えるはずない…タコがパッカーンってなって中からノーマンが!!テレビの向こうで爆笑したのですが、「Right Here,Right Now」圧巻のプレイに、やっぱすごいわと舌を巻きました。Underworldがちょっと間延びしすぎてだらける傾向があるのに対して、Fatboy Slimは「Praise You」や「Weapon Of Choice」など短いフレーズを繰り返し刻んでくるのが、実にキャッチーでいいです。聞いてて楽しい。

しかしながらテクノサウンドの醍醐味として、人間の聴覚では捉えきれないサウンドの洪水によって引き起こされる、『music drug』という現象があります。私はこれがやめられない。

The Chemical Brothersの存在が、 私の中でそれの最たるものとして上げられます。いいんだよ!なーんだとか言われても結局ここに帰ってきちゃうんだから!まあ聞いてよ!なれそめは省きますが、彼らの音楽を中学生の頃から聞いています。醍醐味は「Star Guitar」のようにギュウ~っと締め上げられるように音が高くなっていく高揚感からパッと離されて、緩やかに降下してまた引き上げられて…が繰り返されるサイクルの中にあります。この時にまさしくキマる状況になるわけです。 The Chemical Brothersはその「ギュウ~~~~~」の高揚感が一等ウマイ!なめらかでどこまでも引き上げてくれそうで、その次の次を見せてくれる。それが年々どんどん洗練されていく。「Snoon」は堪りません。状況がマッチすれば彼らのサウンドでいつだって飛べます。うわ、キモチワルイ、自分!(笑)

キモチワルイに重ねるのですが、これドクター・キリコの安楽死装置に似てませんか?電極から超音波を流して延髄を麻痺させる、あのマシーンの仕組みそっくりに私には思えるのです。「キイーーーーーーン」ってなってるの、きっと私と似てる感覚だと!

そのイメージから描いたイラストがこちらです。なーつかしーーーー!

ライブで大量安楽死。勘弁してくれ。しかしながら…今はセットアップもこんなに大仰なものがいらなくなったそうですね。ノーパソとディスクがあればいいらしいです。進化してるなあ。

まあ、そういうドープな面もありつつ、純粋に音楽の組み立て方として、とてもクラシックのシンフォニーと類似していると感じます。ベートーベンやモーツァルトと並べたら似てるんですよ。こんなことは、もうえらい音楽評論家がどっかで言ってるでしょう。

昨年はフジロックに The Chemical Brothers が来ていました。行きたくて、でも行けなくて。動画で彼らのプレイを上げてくれている人たちがいて、部屋を真っ暗にして見てました(怖!)その動画にあるのは光とスモークとオーディエンスの熱、圧倒的なサウンド。動画の荒い音声でも伝わるんですよ。何よりも20年以上前のリリースになる「Hey boy,Hey girl」を今もライブの軸に持ってきている。この事実が突き刺さりました。20年前の曲をいつも求められる事実を The Chemical Brothers が受け止めて、でも最新のアレンジも入れつつ攻めの姿勢でプレイしているように私には見えて、やっぱり世界を相手に何千回もプレイしてきた本物のアーティストは段違いだと一人暗闇で得心したのでした。いつかそれを直に味わうことができたなら、もうどうなったっていいと切に願うのです。

Daft Punkを最後に挙げます。なーんだ、とか言わないでってば!ごめんね!アルバム「Discovery」の松本零二のジャケットに惹かれて聞いてみたら「One More Time」で一気にパーティ気分。なんちゃってパリピになりました。そんなパリピ気分で次のアルバム「Human After All」を聞いたら、横っ面とボディに重たいのを食らいました。なんだこれは。音楽と認めていいのか。暴力的な音の殴り合い。でも不思議な陶酔感。いやいやうるさいだけだと、私はこのアルバムを受け入れるのに10年かかりました。これがダブステップとの最初の出会いになるのです。

いつの間にかダブステップが大きな流行となっていくなか、 The Chemical Brothers は先の流行のベリーダンスをずっと踊っていました。彼らの得意なファンタジックな音楽と共に。それが歯がゆくもあり、安心でもあったのです。でも彼らはついにダブステップを刻みます。アルバム「Born In The Echoes」を聞いて、Daft Punk が打ち出した暴力的なダブステップのビートを、10年以上かけて彼らなりに咀嚼して嚥下して生み出した、 The Chemical Brothers 「らしい」部分のある新しい音楽だと受け入れることができました。酷評されてるけど「Wide Open」私は好きだよ! 似たような時期にUnderworldもダブステップを取り入れたアルバムを出しています。大御所が時間をかけて受け入れるしかなかったほど、衝撃が大きかったのだと改めて Daft Punk すげーとなったのです。

でもね、 The Chemical Brothers 最新アルバム「No Geography」良かったです。ダブステップを噛み砕いて粉々にして、もっと暴力的なサウンドを彼らは持ってきた。王者の貫禄を見せつけられた思いです。かっけー!「Free Yourself」は「Hey boy,Hey girl」のアンサーソングだと勝手に思ってます。PVも骸骨からロボットに代わってるけど、ダンスしまくってるシーンがもろに重なりました。かっけー!びゅんびゅんトビました。後は日本人のシンガーを起用してて、日本語が聞こえてくるのが新鮮だったけど、意味が分かるだけにチョット恥ずかしかったなあ。ひねくれもんです。

うわ!長い長い!ここまで読んでくれた方ありがとう!!つまみ食いもしたけれど、結局大御所に落ち着いてます。また新しいサウンドを彼らが届けてくれるのを楽しみにしつつ、今夜もペンを握っています。

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